アンディ・マレー優勝にまつわる民族間対立の暗い闇
本日のMETRO(第91回)。
Wimbledon 2013: David Cameron backs calls for Andy Murray knighthood
昨日に引き続き、今日もアンディ・マレー、ウィンブルドン・テニス優勝に関するネタ。
今日も複数のページでアンディ・ネタが掲載されていたのだが、昨日と打って変わって、77年ぶりの”イギリス人“によるウィンブルドン優勝に水を差すようなネタがちらほら。
まず、ウィンブルドン決勝を観客席で観戦していたデーヴィッド・キャメロン首相が、試合後のインタビューで、「アンディ以外にナイトの称号を与えられる人物を思いつかない」などと言ってしまったものだから、「いや、まだ早いでしょ」とか「他にも候補(たとえば、ツール・ド・フランスで先日ステージ優勝を果たしたクリス・フルームとか)はいるでしょ」などと、彼の発言を疑問視する声が上がっている。
これに対し、アンディは「ナイトの称号をオファーされることはうれしいし、皆が長い間イギリス人の優勝を待ち望んできたから、それが理由だと思うんだけど、それ(称号)にどういうメリットがあるのかはよく分からない」と至って冷静なコメント。
彼の頭は、早くも次の全米オープン(去年はアンディが優勝)に切り替わっているようだ。
(今週はゆっくり友達や家族と過ごすようだが)
と、これだけならまだいいのだが、首相官邸(10 Downing Streetという住所にあることから、単純にNo.10とか呼ばれる)で、スコットランドの国旗(青地に白の斜め十字なので「Saltire」と呼ばれる)を掲げたようなのだが、これについて、デーヴィッド・キャメロン首相が非難されている模様。
労働党のMPトム・ワトソンによると、「アンディをスコットランド人として祝うのであれば、なぜ他のイングランド人(たとえば、去年イギリス人として初めてツール・ド・フランス総合優勝、そしてオリンピックでも優勝を果たしたブラッドリー・ウィギンス)の時もそうしなかったんだ(イングランドの旗を掲げなかったんだ)」ということだそうな。
昨日も少し触れたが、ここにも、イングランドとスコットランドの民族的対立が顔をのぞかせている。
また、決勝で同じくスタンド観戦してたスコットランド国民党党首である、アレックス・サモンドが、こともあろうに、デーヴィッド・キャメロン首相の真後で、スコットランド国旗を広げたらしく、それがまた物議をかもしているようだ。
去年オリンピックのサッカーで、韓国の選手が、(竹島問題に関する)政治的なメッセージが書かれたフラグ(だっけな?)をグラウンドで掲げたことがルール違反として問題になったが、イングランドのクラブ・ルールでも、同様の規定があり、来年実施予定のスコットランド独立の是非を問う国民投票に向けた政治利用だなどと叩かれている模様。
ただ、一方で、「そんな細かいこと言わなくてもいいんじゃないの?つか、あれダサダサなんですけど」といった声もあるようだ。
ダサダサついでに、今日のMetroの一面で、スーツ姿のアンディが首相官邸前でかっこよく写真を撮られている時に、その後ろでデーヴィッド・キャメロン首相が若干間抜けな顔で拍手している姿が映りこんでしまっている写真が掲載されていた。
で、その写真の横に以下のような見出しがあって、つい笑ってしまった。
「Even at No.10, there’s room for only one man in the spotlight (and sorry, it’s not you PM…)」
(PMというのは、Prime Minister、つまりデーヴィッド・キャメロン首相のこと)
と、最後はほんとどうでもいいネタになってしまったのだが、昨日も書いた通り、やはりこの民族間の対立というのは非常に根深く、来年のスコットランドでの国民投票の行方が気になるところである。
Listening to “Deserters” by Rachel Zeffira
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