イギリス移住経験談(30代男性・渡英後編)
私のイギリス在住の知り合いHさんのイギリス移住経験談です。
前半「イギリス移住経験談(30代男性・渡英前編)」を読まれてない方は、是非、前編を先にご一読頂くことをオススメします。
後編は、イギリスにおける就職活動の模様がかなり具体的に書かれているので、同じような境遇の方にとっては、とても参考になると思います。
30代男性Hさんのイギリス移住経験談・渡英後
渡英後は、本当に人生始まって以来の貧乏暮らしでした(当時は1ポンド=250円前後の時代で、少ない貯金がポンドでは更に少なくなってしまい大変でした)。
食パンを買って毎日サンドイッチを食べて過ごしたり(これが非常に飽きます)、時にはりんごが昼飯という時もありましたが、自分で決めたことで、元には戻りたくないという強い意思もあり、更に楽しいクラスメイトにも恵まれ、毎日充実してました。
そして、1年が過ぎ、もっとこっちに長くいたいという気持ちが強くなり、徐々に就職活動を始めることになりました。
(勿論、長くいたいと思ってましたが、本当に長期でいれるとは思わず、現実的にはこっちで何らかの就業経験をし、2年くらいで帰ることになるのが関の山と思ってました。)Fumirockさんのような特別なスキルもなかったので、今考えるとかなり無謀だったと思いますが、現地の新聞の募集広告を見て、CVを送りまくったり、Job Centre(ハローワーク)に通ったりしたのですが、英語力もしれているし、日本の経験もパッとしなかった(会社自体はそれなりに名のあるところでしたが、日本を一歩出るとそれだけでは通じません)ので、受かるはずもなく。。。
更にVISAが必要ですし、わざわざ非EU圏の人材を雇う理由もないわけですから、当たり前の結果です。
平行して、在英日系企業リストを見ながら、CVを送りまくりましたが、これまた反応悪く。。。最後の手段?で、日系人材派遣会社に登録したところ、何件か現地の日系企業を紹介され面接に行きました(バーミンガム、ケント州いずれも地方)が、正直興味のある分野じゃなく、落ちまくりました。
この時、派遣会社の担当者に言われたのが、「今時、労働ビザをサポートしてくれる会社も少ない中、UKで働きたいのなら職は選んじゃいけませんよ」という言葉でした。そんな中、現地の日系フリーペーパーで働く友人の情報で、今度新しい人材派遣会社が出来て、うちで広告を載せるから、小さな会社だけどそこも当たってみたらという話がありました。
早速コンタクトすると、直ぐに仕事の紹介があったのですが、何とその仕事先は、他の大手人材派遣会社でも取り扱っているもので、こっちが興味を示しても、これは君の経歴とマッチしないから紹介できないと言われたものでした。
その小さな人材派遣会社の社長にそれを伝えると、
「あぁ、大手の派遣会社はコンピューターで経歴のマッチングをするので、ちょっとでも違うと中身も見ないで判断するのよ。うちはちゃんと紹介する前に面談して過去の職歴やキャラクターを見極め、また採用する会社のニーズもきっちり把握してやるから、そんなの関係ないわよ。あなたなら大丈夫。」
と励ましの言葉を頂き、面接に臨みました。そして、彼女の言う通り、面談も上手く行き、採用が決まりました。
これで駄目なら、その年限りで日本帰国が決定的になるところだったので、本当に救われました。
(まわりには多くの日本人の友達が同じようにUKで働く願望を持っていたので、かなり羨ましがられました)
この時得た労働VISAが上限の5年間有効のものだったので、5年後の2010年に永住権を取得。前後しますが、2008年にこちらで出会った日本人女性と結婚、その後二人の子供にも恵まれ、賑やかな生活を送っています。長くなりましたが、fumirockさんが似たようなことを書かれている通り、人生には転機となる潮目がやってくるので、自分の気持ちとか感覚を信じて、そうした波に乗っていくことが大事かと思います。
往々にして、信念や強い思いを持って行動すると自然とそういうタイミングがやってくるものであり、そこから色んな人との出会いが次のチャンスに繋がり、思いがけないきっかけを掴むことが出来ると思います。
現在のUKの労働環境や外国人就労・定住に対する規制は厳しくなる一方というのが、紛れも無い事実です。しかし、何も行動しなければその可能性を広げることができないのも、これまた事実です。
私の妻(彼女も単身でロンドンに乗り込んで、英国の看護師資格を取り、現地の病院で労働許可サポートしてもらい働いてきた苦労人ですが)が言った言葉で私も好きな言葉に、「ロンドンは、自分の可能性と限界を教えてくれる偉大な街」があります。まさにその通りで、ロンドンは、チャレンジすればいくらでも胸を貸してくれます、ただ中途半端なら直ぐ倒されますが、強い意志で頑張れば可能性はゼロではありません。
勿論、失敗に終わることも覚悟しなければなりませんが、それで得られることは非常に大きいし、チャレンジしなかったことでずっと悩み続けてこの先の人生を過ごすことほど悲しいことはありません。
人生が失敗か成功かを決めるのも自分自身であり、他人ではありません。
後悔の無い人生を送れるよう、出来ることは惜しまず、どうか頑張って下さい。
ちなみに、上で「特別なスキル」を私が持ち合わせたという感じで書いて頂いていますが、誤解のないように補足しておくと、私は単に5年間日本でSEとして働いただけなので(一応その間、かなりがっつり腕は磨いたつもりですが)、特に特殊スキルというわけではなく、日本にはゴロゴロいる程度の平均的スキルレベルでした。
個人的には、上の経験談には入っていませんが、それを送って頂いたメールの冒頭に、
いやーでも、本当に人生何が起こるか分からないという感じですが、今でも、ホームステイ先に向かいEast Putney駅にスーツケースとバックパックで降立った緊張感、ワクワク感は忘れないですねぇ。
と書いてあったのが、すごく印象的でした。
自分も、相方を残し、一人ロンドン・ヒースロー空港へ降り立ち、目的の長距離バスに乗れるかどうかの緊張感、Devonについてバスを降りたら、来てくれるはずの迎えが一向にこなかった時の絶望感、自力でホームステイ先へ向かい、何事もなかったかのように「は~い」と明るく出迎えてくれた時の脱力感(と安堵感)は忘れられないです*笑
今となっては、たまにロンドンに住んでることを忘れるくらい日常化してしまい、全くワクワク感はなくなってしまったのですが、たまにこうやって、当時のことを思い返して、原点に立ち返るのも悪くないなと思いました。
そのうち、前のブログに置き去りになっている過去の留学生活の日記も、整理して、移行しようかな。。
(それか、加筆修正して、本にしてKindleあたりで売りさばいたら、15部くらいは売れるかな*笑)
というわけで、前編、後編に渡ってお送りした経験談、少しでも、参考になれば幸いです。
書いてて、ふと思ったけど、人の経験談読むの楽しいので、これ他にも募集してシリーズ化するのもありかも?
いかにして、イギリスに住み着いたか、みたいな*笑
Listening to “Hesitation Marks” by Nine Inch Nails
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