通勤時間は勤務時間として扱うべきという判決が下った模様

今週のMETRO(第178回)。

最近、欧州司法裁判所(the European Court of Justice)に、スペインの労働組合から、とある案件が持ち込まれた。

それは、会社が支社をクローズしたおかげで、そこで働いていた労働者が自宅から直接派遣先へ行く必要が出てきたのだが、最初の仕事で、車で3時間もかかる先へ行くハメになったということらしい。

これに対し、裁判所は、通勤にかかる時間は、勤務時間として扱うべきであるという判決を下した。

つまり、これは会社が通勤時間に対してもお金を払わないといけないということである。

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Travelling to work ‘is work’, European court rules

記事によると、対象となるのは、決まったオフィスを持たない労働者で、例えば、各家庭を訪問するようなケア・ワーカーであったり、ガスや電気技師だったりする人である。

こういう仕事の場合、自宅から、その仕事先までの距離がまちまちで、それによって勤務時間も日々異なったりする。

そのため、その日のスケジューリングをする際に、なるべく最初と最後の訪問先が自宅の近くになるように考慮する必要があり、会社の都合でオフィスをクローズしたのに、その結果、そういう負担が労働者に行くのはおかしいだろうという判断らしい。

また、通勤時間が長くなったせいで、それをカウントすると、その日の最低賃金を下回るような結果になり、それは違法であるということのようだ。
(一旦オフィスに行けば、そこからどんなに遠くても仕事とみなされるため)
これは、Health and Safetyの観点から下された判決のようだが、ヨーロッパではこの点についてはかなり(雇用者側にとって)厳しく規制されている。

よって、会社はそれに対してかなり労力とコストを使わなければならない。

ちなみに、この判決を受けて、イギリスの商工会議所(the British Chambers of Commerce)では、そんな遠くの裁判所で下された判決がUK国内のビジネス、雇用創出や経済に影響を及ぼすのはいかがなものか、というようなコメントをしている。

当然、雇用者にとっては、この判決によって、さらなるコストをかける必要が出てくるため、当然ながら歓迎されていないのだが、今後はイギリスでもそういう方向性になってくるだろう。
自分もイギリスでマネージャー職をやった経験からよく分かるのだが、こういうのにきちんと対応していくことは、会社としては結構大変なのだが、そのおかげで従業員はある程度守られている。

日本で働いていた時と比べると、その差は歴然で、こういうのを見ると、日本の会社、管理職は従業員にかなり甘えているところがあると思う。
(つまり、会社、管理職視点で見ると、超楽。)

ただ、逆にこちらは守られ過ぎなんじゃ?ということもあり、その辺のバランスは難しいところではあるのだが、個人的には、社会全体としては、守られすぎくらいで丁度いいのかもしれないなと思う。

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