ジェイミー・オリバーが食に金をかけないイギリス人(貧困層)に苦言を呈す

本日のMETRO(第101回)。

Poor? Not when they can afford big TVs, says Jamie Oliver
(ペーパーのタイトルは「Poor? Not when they can afford big TVs, says Jamie」)

このブログでなぜかジェイミー・オリバーのレシピ記事が人気(というか、単にたまたまGoogleでヒットしてるだけなんだけど)なのだが、今日のMetroでジェイミーが出ていたので、久々に取り上げてみる。

記事によると、ジェイミーが「イギリスにおける今時の”貧乏”って何?大きなテレビに払うお金はあるのに、健康的な食べ物に払うお金はないの?」と、イギリスの現代社会の食に対する意識の低さに苦言を呈した模様。

なぜ、彼がこのようなことを言ったかというと、彼のTV番組「Ministry Of Food」が関係している。
(ちなみに、このタイトル、第2次世界大戦時にイギリスで実在した、国民が配給でもちゃんとした食事が取れることを目的とした省へのオマージュ)

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その番組内で、テイク・アウェイの店で売っているような、よくある発泡スチロール製の入れ物に入ったチップスを食べている母親と子供が出てくるシーンがあり、その親子の後ろには、大きなテレビが映っていて、そのコントラストがどう見ても不釣合いだったということらしい。

つまり、貧乏だからちゃんとしたものを食べれないって言うけど、そんな大きなテレビを買うくらいの余裕はあるんでしょ?ということである。

さらには、イギリスの最貧困層のだいたいの家庭は、最もお金のかかる方法(ready meals、convenience foods)で食事を取っており、そもそもお金をかけずにまともな食事をすることを知らない(学んでいない)のが問題だと主張している。

彼の主張に対して、「お前みたいな金持ちには分からないんだよ!」的な反論を投げかける人がよくいるそうだが、そういう人達に対しては、「彼らをハグして、シチリア島にテレポートさせて、ストリートの掃除をやっているような人が何を食べているのか見せてあげたい」と言っている。

シチリア島では、25個のムール貝、10個のチェリートマト、そしてスパゲッティ1袋が60ペンス(今のレートで90円くらい)で手に入り、そういう食材で作られたパスタがまたうまいのだそうだ。
(シチリア島というだけで、うまそうだが・・・)

まぁ、これは物価の違いもあるだろうし、若干強引な話ではあるが、要は金をかけなくてもうまいものは作れるし、食べれるということを言いたいのであろう。
これは間違ってはいないし、恐らく正しいのだろうけど、ジェイミーのような稼ぎまくっている(今のレートで資産約226.2億円!!!)有名人が言うと、当然ながら反感を買う場合が多い。

そして、この記事のように、前後を省いて、わざと読者(つまり一般庶民)の反感を買うように書かれたりするもんだから、さらに悪者になってしまう。

確かに、彼は色んな彼名義のブランドの食材(中にはReady mealsもある)、キッチン用品、そしてテレビ、本、DVDなどの著作で荒稼ぎしているのは事実だが、彼がイギリスの食文化を改善しようと様々な活動をしているのも事実である。

当然Metroのようなタブロイド新聞は、おもしろおかしく前者のみを取り上げるので、後者を知らない人にとっては、単なる「セレブリティ・シェフの戯言」で終わってしまっても仕方ない。

ただ、彼の影響で恐らくイギリスの中流階級以上の人たちは、食に対する意識が高まり、結果として、より健康志向となり、以前に比べてかなり変わったはずである。

そして、そういう親の世代の子供が通うナーサリーや学校に対しても、給食に対して厳しい目が向けられるようになってきた。

その結果、Ofsted(イギリスで学校を評価する専門機関)で良い評価を得ようとするようなナーサリーや学校は、きちんと対応し、改善してきているという事実もある。

前のジェイミーの記事にも書いたが、Gabyが通うナーサリーの給食もテスコのサンドイッチから、資格を持った調理師が作るまともな食事に変わったのは有名な話だ(我が家で)。

ちなみに、このナーサリーはOfstedでOutstandingの評価を得ている。
しかしながら、相変わらず、テイク・アウェイのジャンクフードやスーパーのready mealsを頻繁に食べ、子供の弁当にクリスプス(ポテトチップス)やチョコレートを持たせる親もイギリスにはまだまだ数多く存在する。

特に、今回の記事で対象となっている、貧困層についてはそれほど変化がないのかもしれない。

確かに、スーパーで安売りしているようなready meals買えば、へたに食材買って調理するより、安くて、味もおいしいし、わざわざ作らなくても十分なのである。
(中に何が入っているのかを気にしなければ)

料理というのは、ご存知の通り、食材をあの手この手で使って、毎日続けなければ、単に余らせて腐らせてしまって、余計高くつくし、好きでなければ、そもそも面倒な作業なのである。

さらに料理のレシピ本に出てくるようなまともな調味料を揃えようとすると、さらに高くつくし、そもそもスーパー回って揃えるのが面倒なのである。(個人的にはかなり楽しいが)

この辺のバランスをしっかり考えないと、本当の意味で一般庶民には根付かないのではないかと思う。
ちなみに、最近、個人的にいいなと思ったのは、BBC Good FoodというBBCのレシピ・サイト。

レシピ毎に、この材料をテスコで買いたい場合はこちら、という感じで、テスコなどのスーパーのオンライン・サイトと連動している。

なので、これ全部買ったら、いくらで、この食材家にあるから、これだけチェック外して・・といった具合に、引き算で食材を選ぶことができ、値段もすぐに分かる。

これはインタフェースとしてはかなり優れていると思う。

ジェイミーのレシピ本も、これテスコで買ったら、全部でいくらとか、スーパー毎に合計金額載せれば、もっと庶民的で実用的になり、一般大衆に受け入れられるのではないかと思う。

さらに、大手スーパーと手を組んで、BBCみたいにオンライン連携したら、コミッションでがっぽり儲かって、さらには貧困層にもリーチできるかもしれない。

どうですかね、ジェイミーさん、このアイディア(パクリだけど)、買いませんか?
(そして、がっぽりとリターンを・・・)

Listening to “Monk’s Dream” by Thelonious Monk
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