お前ら全員クビじゃ!陪審員の裁判官に対する質問が面白すぎる件

本日のMETRO(第42回)。

Chris Huhne’s ex-wife Vicky Pryce set for retrial as jury discharged after failing to agree on verdict
(ペーパーのタイトルは「Judge puts Pryce jury in the dock」)

元々は、元エネルギー・気候変動省大臣(と無理やり訳すと分かりにくいけど、英語だと、Secretary of State for Energy and Climate Change)のクリス・ヒューンChris Huhne)が2003年にスピード違反で捕まった際に、免停を逃れるために、当時妻だったビッキー・プライスVicky Pryce)が身代わりになったというのが発端。

で、昨日それに対する公判(今回の被告はヒューン氏ではなく、身代わりをやったプライスさんの方)が行われたのだが、陪審員がめちゃくちゃな質問を裁判官へ次々と投げかけ、ついに裁判官がブチ切れて、「てめーら、とっとと家に帰れ!」(とは言ってないが)と陪審員を解任し、新たな陪審員でまた月曜日に仕切りなおすという前代未聞な出来事が起こったというニュース。

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まず、上記記事を読む前に、陪審制がどんなものか理解しておいた方がいいと思うので、Wikipediaから抜粋。

陪審員の数は、伝統的には12人であるが、法域(国や州)によって、これより少ない人数としているところもある。陪審員は、一般市民の中から無作為で選任され、宣誓の後、法廷の中に設けられた陪審員席に着席して審理(トライアル)に立ち会う。

陪審員の参加する審理においては、裁判官は法廷を主催して訴訟指揮(異議の裁定など)を行い、陪審員が偏見を与えられたり、不適切な証拠が法廷に持ち込まれたりすることを防ぐ。

そして、裁判官は、審理が終わった段階で、陪審員に、どのような法が適用されるべきかという詳細な説示 (instruction, charge) を行う。陪審は、法廷に提出された証拠と、裁判官の説示を踏まえ、事実認定とその事実に対する法の適用の双方について密室で評議した上で、評決 (verdict) を答申する。

民事陪審では、例えば被告の責任の有無だけでなく損害賠償額についても評決を答申する。刑事事件では、陪審が有罪・無罪を答申し、有罪の場合の量刑については裁判官が決定するのが原則である。

評決は、伝統的に全員一致であることが必要であるが、現在では、法域によって特別多数決(11対1や10対2など)を認めるところもある。

陪審員の意見が分かれ、全員一致や特別多数決の条件を満たさない場合は評決不能 (hung jury) となり、新たな陪審の選任から裁判をすべてやり直す必要がある法域が多い。

で、今回、14時間に渡る評議の間、10の質問を裁判官にしたようなのだが、その質問が、あまりにも的外れというか、おまえらアホ?という内容だったため、裁判官が「ダメだこりゃ」と思ったらしく、別の陪審員で仕切りなおすことに決めたらしい。
(裁判官曰く、「30年以上やってるけど、こんなん初めてっすわ・・」)

その質問内容は、上の記事を読めば分かるのだが、これが確かに笑える内容となっている。

抜粋するとこんな感じ。

陪審員:合理的な疑い(Reasonable doubt)ってどういう意味ですか?
裁判官:合理的な疑いとは、その疑いが合理的だという意味です。普通の英語です。(心の声:てめーら、バカか?)

陪審員:評決は、法廷で提示されてなかったり、事実や証拠のない理由を基に決定できますか?
裁判官:(はぁ、、、)当たり前ですが、答えはNoです。それは、私が準備した説示に反します。

陪審員:議論の余地のある証拠があった場合、推定(inferences)で評決を下していいのでしょうか?推測(speculation)はアリですか?
裁判官:推定(inferences)はアリですが、推測(speculation)はナシです。

陪審員:犯行時にいなかった人の証言に基づく推測はアリですか?例えば、お手伝いさんとか、近所の人とか。
裁判官:(何回言わすねん!)それ、絶対やっちゃダメです。何回も言ってるけど、推測はダメです。書類に署名させた時にその場にいたのは、他の誰でもない、元旦那のヒューン氏だけです。

陪審員:被告は抗弁する義務はあるのでしょうか?
裁判官:(はぁ、意味不明・・)被告は無実を主張する抗弁の義務もないし、何の義務もありません。

陪審員:プレイスさんが(スピード違反の)書類を送った当時の出来事や彼女が考えていたことから推測してもいいですか?
裁判官:(もうイヤ、この人達・・・)答えは、全くもってNoです。推測(speculation)と推定(inferences)は違います。推定(inferences)は確実な事実から妥当な結論を導き出すということですが、推測(speculation)は単なるguess(こっちも推測なんだけど)です。推定(inferences)と全然違います。

陪審員:宗教的信念は妻が拒否できなかった理由にならないでしょうか?例えば、結婚式で彼女が旦那に従うことを誓った場合、旦那が命じたら、彼女は従わざるを得ないと思うんですけど。。
裁判官:(何言ってんの、おまえら?)その質問は今回の件と全く関係ありません。この質問に答えることは、あなた方は正しい評決に辿りつくのに、何の役にも立ちません。

その後も、再三説明し、注意を促したが、結局、評決にたどり着けず、埒が明かないと見た裁判官は彼らの解任を決断。

裁判官の方、お疲れ様でした。。。

Listening to “Blunderbuss” by Jack White
B007CKNX28

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