黒人差別に断固立ち向かうカフェ・オーナーとマイノリティーについての話

本日のMETRO(第92回)。

Cafe owner’s ‘warning’ to customers: If you’re allergic to black people, don’t come in
(ペーパーのタイトルは「I don’t bite!」)

今日のMetroの一面は、黒人差別に苦しむ、あるカフェ・オーナーの話。

記事によると、このカフェのオーナーは黒人の女性らしいのだが、店に入ってきた客が彼女の顔を見たとたん出て行ってしまうということだ。

それで、なぜこれが記事になったかというと、彼女がこれに対抗して取った対策がまたすごいのである。

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あまりにも客が彼女の顔を見て店を出て行ってしまうのにうんざりした彼女は、なんと店の入り口のドアに次のような張り紙をしたのである。

注意!
私は黒人で、店にずっといます。もし黒人アレルギーのある方は入店しないでください。
でも、もしおいしい食事を心地よく、きれいな環境で楽しみたいという方は是非いらっしゃってください。
噛み付いたりしませんよ。

言うなれば、完全なる開き直りである。

そして、この張り紙に対するお客さんの反応はというと、ネタとして受け取り笑ってくれるお客さんもいれば、張り紙を見てそのまま立ち去る人もいるようだ。

ひどい時は、外から罵り声が聞こえてきたこともあったという。
で、最初この記事を読んだ時、こんな黒人たくさんいるのに、こんなあからさまな差別があるというのが信じられなかったのだが、よく読むと場所がロンドンでないらしく、それで合点がいった。

このカフェがあるのは、ウェスト・ヨークシャー地方にあるOssettという町なのだが、2011年に実施された国勢調査によると、人口の98.9パーセントが白人らしく、黒人はこの地ではかなりマイノリティーな存在なのである。

それで、このオーナー、自分が被害妄想でないことを確かめるために、試しに白人女性を雇ってみたようだが、かなり常連客が増えたらしい。

その後、オーナーがまたカウンターに入るようになった途端、一気に客足が途絶えたという、ある意味彼女が被害妄想でないことを証明する悲しい結果に。
(もしかしたら、その雇った白人の子がものすごい美人だっただけという可能性も否定できないが)
ちなみに、これが、ロンドンであれば、59.8パーセントまで白人比率が下がり、恐らく、店に黒人がいたら出て行くなどという、こんなことにはならないだろう。

もちろんロンドンのどこかによって多少事情は変わってくるが、基本的に、我々アジア人もそうだが、黒人も別に珍しくない。

というか、ロンドンには、あまりイギリス人は住んでいない(比率的に50%くらい?)というのが実際のところで、本当に色々な人種が入り混じり、文字通り人種の坩堝と化している。

そういう意味で、ロンドンという都市は、我々のようなマイノリティーにとっても、住みやすい場所なのである。

もちろん外国人がゆえに苦労することもあるし、差別?という扱いを受けることもあるが、基本的に良くも悪くも特別扱いされない。

たとえば、ロンドンに来てすぐの時に、イギリス人らしき人に道を尋ねられ、「普通、俺に聞くか?」と思ったことが何度もある。
(少なくとも、日本人が、日本国内で、外国人に道を聞くことなんかほとんどないだろう)

でも、それだけ「普通」の存在なのである。
なので、こういうのを経験していると、99%以上(たぶん)日本人という東京(に限らないけど)は、あらゆるところで特別扱いされてしまう外国人にとって、住みにくい場所なんだろうなぁと思ってしまう。

日本で暮らしたことのあるオーストラリア人が、仲のいい日本人の友達ができても、あくまで「“外人”の友達」として扱われることについて、すごく残念だと言っていたのが印象的だった。

まぁ、現状、本当に「特別」な存在なので、仕方ないよなぁと思う。

ただ、今の日本は、国内市場だけじゃどうしようもなくなって、企業は海外に進出せざるを得なくなり、少子高齢化によって、逆に外から働き手を連れて来ざるを得ない状況になっているので、今後どんどん変わっていくだろう。

東京の人口の半分が外国人になったら・・というのは全く想像つかないが、30年後、50年後、どうなっているんだろうか。

労働力を目当てに積極的に移民を受け入れてきた結果、自国民が職にあぶれるという事態になり、今、急激に移民を制限し始めているイギリス。

日本にとってはよい教科書になるのではないだろうか。

Listening to “Allah-Las” by Allah-Las
B008NCW87U

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