イギリスにおける同性婚を巡る論争

本日のMETRO(第81回)。

David Cameron faces revolt on gay marriage amid ‘loons’ row
(ペーパーのタイトルは「Tories face revolt on gay marriages amid ‘loons’ row」)

今日の一面記事はイギリスでも不動産バブルが弾けるとか何とか書いてあったが、最近不動産ネタ多いので、ちょっと毛色を変えて、7ページ目にあった同性婚に関する記事。

今年に入ってから議会にて議論されている同性婚を認める法案だが、今日(2013年5月20日)、Report stage(下院本会議)が実施される(これを書いている時点では、「された」が正しいのだが)模様で、デーヴィッド・キャメロン首相率いる保守党内でも賛否両論あるらしく、今回も揉めそうという内容。
(この記事は前日の日曜に書かれたものなので、記事上は明日となっている)
現在、イギリス国内では、同性同士の結婚は認められていないが、法的に異性間の結婚とほぼ同じ権利を持つCivil Partnership市民パートナーシップシビル・パートナーシップ)は認められている。

で、今回の法案では、同性同士の結婚を法的に認めようといういうものである。

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正直、結婚と市民パートナーシップの間で何が違うのかよく知らなかったので軽く調べてみたが、ほとんどは同じだが、若干権利関係で異なるポイントがある模様。
例えば、市民パートナーシップの場合、片方が亡くなった時に、残された方が受け取れる死亡した人の年金の金額が、結婚している人よりも少なく、期間も短くなったりするらしい。

また、市民パートナーシップのカップルが、同性婚が認められている国(例えばスウェーデンやポルトガル)に移住した場合、逆に、結婚している人と同等の権利が認められないようだ。
(法的に結婚が認められているのだから、それ相応の権利が欲しければ、結婚すればいいじゃんということ)
それで、この法案、今年2月に行われたSecond Reading(第二読会)では、保守党議員のうち、約半分の134人が反対票を投じ、他にも棄権する議員が多数出たようだが、連立与党の自由民主党と野党の労働党の協力を得て、なんとか可決されている。

今回、いくつかの改訂を盛り込んだ修正案でReport stageに臨んだようだが、その内容が、同性間の結婚を認めるのと同時に、異性間の市民パートナーシップも認めるというものらしい。
(異性間の市民パートナーシップにどういうメリットがあるのか、よく分からないが・・)

本日の会議では、野党である労働党も巻き込んでなんとか法案を可決する方向に持っていきたいと協力を呼びかけ、労働党においても自由投票を実施すると合意を得た模様だが、異性間の市民パートナーシップの実現可能性について早急に協議すべしという声が上がっているようだ。

同性婚については、現在世界中の先進国で議論されているトピックの一つであるが、やはり宗教という大きな壁が存在しており、ここイギリスでも根強い反対が続いている。
そのため、この法案が可決しても、教会に対しては強制力を持たないらしく、同性同士の結婚式を教会で挙げるのは難しそうである。
個人的には、同性婚については、特に反対意見もなく、「別にいいんじゃないの」という立場であるが、そもそもイギリスに来るまで、そういうことを考えたことすらなかったというのが正直なところである。

恐らく日本にもたくさんそういう人はいると思うが、あまり身近な存在ではなかったというのもあり、意識したことはなかった。

ただ、こちらでは市民パートナーシップという、結婚とほぼ同等のステータスがあり、社会的に認められているため、かなりオープンで、よくそういうカップルを見かけ、あぁ、こういう形もあるのかと、自然と意識するようになった。

今自分が住んでいる同じフラットにも、おじいちゃんとおっさんのパートナが住んでいるが、引っ越し当初から声をかけてくれ、色々教えてくれたりして、非常にお世話になっている。

たまに、公園で、二人ベンチに座ってクリケットを仲良く観戦しているところを見かけると、本当に仲好さそうで、ほのぼのする。
(人づてに聞いた話では、30年来の付き合いだとか)

最近、フランスでも激しい議論と反発の末、同性婚が合法化され、アメリカでもオバマ大統領が同性婚を支持すると表明しており、世界的な流れとしては、イギリスにおいても最終的には合法化されるのではないかと思う。
尚、現在、この法案がプロセス上、どこまで進んでいるかは、以下のサイトで参照可能。
Marriage (Same Sex Couples) Bill

このサイト、すごく分かりやすく、各法案の内容と、そのプロセスの記録がぱっと確認できていいなと思った。

基本的なプロセスは、こういう感じらしい。(自分も初めて知った)
(下院の後は、上院で審議され、最終的には女王の承認を得て、法律化される。上院から始まるパターンもあるらしい。)
Passage of a Bill

日本でもこういうサイト作ればいいのに。
(どこかに存在するのかもしれないけど)

Listening to “News from Nowhere” by Darkstar
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